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早期から打ち出した個人情報保護の考え方

また”レンダースエクスチェンジ”として、全情連は、自分たちが取り扱っている個人信用情報が大切であればあるほど、その情報は情報機関や貸金業者の所有物ではなく、あくまで情報の主体者であるお客さまからお預かりしたものと位置づけねばならないと考えてきました。この考え方を象徴するものが1981年(昭和56年)に策定した21力条から成る「倫理綱領」です。全情連の憲法ともいうべきこの「倫理綱領」は、個人信用情報の取り扱いにおけるプライバシー保護の理念を表した自主規制基準というべきもので、わが国に個人情報保護やプライバシーといった概念がほとんどなかった時代にあって、一団体が自ら策定したものとしては実に画期的な存在ではなかったかと思います。

策定にあたってご指導を仰いだのが、現在もわが国のプライバシー研究における第一人者である一橋大学法学部の堀部政男教授(現・名誉教授)でした。堀部教授は、80年(昭和55年)に経済協力開発機構(OECD)の理事会勧告として知られる『プライバシー保護の8原則』が策定された際、著書においてその意義と重要性を力説された方でもあり、早速つてを頼って教授にお目にかかり、ご指導をお願いしたところ、全面的なアドバイスを頂戴することができたのでした。

「情報は情報の主体者たる本人のものである」と高らかに宣言した前文に続く「収集の制限」「内容の制限」「情報登録の事前同意」「正確性・最新性の保持」「漏洩等の防止」「利用目的の制限」、そして「本人開示」「誤情報の訂正・削除」などの項目は、すべていまの時代にも通用する、というより完全に時代を先取りしたものであることがおわかりいただけることでしょう。全情連がこのような自主規制基準づくりに動いたのは、消費者金融のあり方をめぐる世論や社会状況が日増しに厳しくなり、消費者金融業者が自らの利益のために、個人が第三者に知られたくない情報を扱っているという言われなき中傷・批判に対抗する必要があったこと。

さらにこのとき進んでいた立法作業において、個人信用情報機関が単なる”過剰融資防止機関”としてのみとらえられ、短絡的に法規制の対象となることを防ぎたいという思いがあったからでもあります。はたして、83年(昭和58年)に「貸金業規制法」が成立した際、第30条(過剰貸付けの防止)に「信用情報機関」という言葉が初めて用いられたことは、「倫理綱領」によって全情連が高い意識のもとに個人信用情報を取り扱い、その存在が過剰融資の防止に一定の効果を上げていることが公的に認知されたことの証左と言っても過言ではないと思います。